お茶が飲めない子どもが増えている?苦手になる原因とお茶嫌いの克服方法

いつでも・どこでも、手軽に飲料が手に入る今の時代。仕事の休憩時間に、運動やスポーツの後に、お気に入りの一杯でリフレッシュする方が多いのではないでしょうか。簡単に清涼飲料水やスポーツドリンクが飲める便利さの一方で、近年はお茶や水を苦手にする人が増えています。中でも心配なのが、小さな子どもたちのお茶離れ。甘い飲み物に慣れてしまい、お茶の風味や苦みに苦手意識を持つ子どもたちが増えています。
小さな子どもほど水分補給が大切な理由
人間の体に含まれる水分量は、年齢や性別、体脂肪率によって異なります。一般的な成人男性の場合、体重に対する体内の水分量は約60%です。女性の場合は、約50~55%。女性の方が男性よりも体脂肪率が高いため、水分量の割合が低くなる傾向にあります。また、年齢による違いも大きく、子どもの水分比率は約70%もあり、成人より10~20%も高くなります。新生児はさらに高く、約75~80%にも上るため、小さな子どもほど水分補給が重要となります。
大人とは異なる子どもの味覚
小さな子どもは、大人に比べて「苦み」や「酸味」に対して非常に敏感です。その一方で、「甘み」「塩味」「うま味」といった成分を強く感じやすい特徴があります。特に「甘み」は、子どもの味覚にとって非常に受け入れやすく、ジュースなどの風味を好む傾向にあります。この他にも、脳の発達に有効なブドウ糖を強く求めたり、甘いモノを口にすることで脳内にドーパミンが分泌され、快感や幸福感を得られるため、ジュースなどの飲みものを欲しがるようになるとされています。
ジュースなどの清涼飲料水の与え過ぎにはご注意を
ジュースなどでの水分補給は決して悪いことではありませんが、日常の水分補給が甘い飲み物だけにならないよう注意が必要です。過剰な糖分の摂取は、虫歯のリスクを高めるほか、カロリーオーバー、栄養の偏りといった健康上の不安につながります。また、血糖値が急激に高くなったり低くなったりすることで、精神的な不安定さや集中力の低下になると言われています。甘い味に慣れてしまうと、人間が持つ繊細な味覚を感じ取る本来の力が育たず、濃い味を強く求める傾向も見られます。こうした好き嫌いが将来的な偏食の原因にもなるため、飲む量を上手くコントロールしてあげてください。
無味無臭への抵抗感がお茶嫌いの理由
濃い味に慣れてしまうと、水やお茶など薄い味に対して抵抗感を持つようになります。子どもには、本能的にカロリーを求める嗜好性があり、味が薄いお茶に魅力を感じないというメカニズムも働くとされています。味が薄くて「おいしくない」「物足りない」と感じてしまうことが、子どもたちのお茶離れの大きな要因になっています。
子どもたちにとって「苦み」「渋み」は危険のサイン
お茶には、タンニンやカテキンなど体に良い働きをする成分が豊富に含まれていますが、その半面で「苦み」や「渋み」が伴います。人間の生存本能では、「苦み」「酸味」「渋み」は、毒や腐敗を伝えるサインとして認識されるため、子どもにとっては不快な味になってしまいます。子どもにお茶を飲ませる際には、敏感な感覚を考慮して、味や香りに気を付けてあげるのが良いでしょう。
お茶嫌いを克服する方法は?
お茶嫌いだからといって、急にジュースなどを与えるのを辞めてしまうと、水分不足になる心配があるため、ご注意ください。まずは、徐々にジュースからお茶へと与える量を調整していきましょう。ジュースを普段の半分の量にして、残りをお茶で補ったり、味に慣れさせるために、少しだけジュースを水で薄めてみたりしてはいかがでしょうか。フルーツの香りづけやほんのりと甘い味を足してあげたりする方法も有効です。また、視覚的にお茶を魅力的に見せる工夫も大切で、かわいらしいコップに注いだり、大人と同じ飲みものを飲む楽しさを感じさせたりと、アイデア次第でいろんな方法を試していただけます。
健康な体づくりと習慣づくりにお茶を活用
2005年に厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」(※)では、お水・お茶が食事の中心に位置づけられています。このガイドラインでは、1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いかの目安を分かりやすく示しており、みなさんの食生活に大いに役立つ指標です。その中で、お菓子やジュースは「適度に楽しむもの」とされているように、基本的な水分補給はミネラルも豊富なお茶にして、ジュースなどは何かのご褒美に取っておいたり、飲む時間を決めておくのがおすすめです。好き嫌いがない健康的で健全な子どもの食生活のためにも、ぜひ参考にしてみてください。
※厚生労働省「食事バランスガイド」について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html
※農林水産省「食事バランスガイド」について
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/