日本に住んで得してる!?新茶の季節と、海外の緑茶事情。


今年も茶園にとって最も忙しい時期がやってきました。5月2日は「八十八夜」。立春から87日目であり(立春が88夜の1日目)、茶摘みの最盛期です。また、このような背景もあって5月2日は「緑茶の日」としても登録されています。ということで、今回は緑茶の話をお届けします。

なぜ茶道と言えば日本なのか!?

先日、中国メディアに「なぜ茶道と言えば日本なのか!?」という記事が掲載されました。内容を要約すると、「お茶の起源は中国(※中国南部の雲南省が発祥で紀元前2700年ごろに発見されたと考えられています)なのに、茶道と言えば世界の誰もが日本を思い浮かべる。この原因は、お茶を飲むことそのものではなくお茶を飲む形式。剣道・柔道・空手道をはじめ日本では「道」が付く武術・芸術・技芸があり、それは精神の修養を重視する。茶道もそのひとつであり、お茶の味や香り、水質、火加減はもちろん、茶道具の扱い方、お茶を点てる動作、姿勢、表情、話題、茶室や茶庭の愛で方など、あらゆることに厳格な規定がある。「道」に昇華させたこと、茶道の精神性が世界の人々の心を打っている」というもの。つまり、日本の茶文化は世界的にも評価されているのです。とはいえ、中国茶には中国茶独自の良さがあります。ここでは、日本・中国両方の緑茶についてご紹介しましょう。

中国の茶道、茶芸とは?

中国茶の世界には茶芸という言葉があります。これは、日本における茶道にあたるもの。と言っても厳格な決まり事があるわけではなく、要は茶をおいしくいただくための作法です。お茶の淹れ方や道具、飲み方にも「これでなければならない」という決まりはありません。時間と心にゆとりを持ち、お茶のことを話しながら気軽に味や香りを楽しむのが茶芸と言えるでしょう。日本でいる煎茶道に近いと言われています。

日本・中国、それぞれの緑茶について

同じ「緑茶」という名称がついているものの、日本の緑茶と中国の緑茶は別物と言えるでしょう。原料は同じチャノキ(ツバキ科)ですが、日本の緑茶は葉や芽を蒸して発酵を止めるのに対し、中国の緑茶は炒ることで発酵を止めます。この製法の違いによって、味や香りに違いが生まれるのです。一般的に、「日本の緑茶は味を重視している」「中国の緑茶は香りを重視している」と言われます。そのため、中国の緑茶を初めて飲んだ日本人は「味が薄い」と感じるのだとか。

「Green Tea」ではなく、「Matcha」

緑茶の健康効果が世界で知られるようになって、久しく時間が経ちました。カテキンやミネラル、カフェインなどが高血圧、老化、糖尿病を抑制・予防してくれることもあり、今では様々な国でスーパーフードとして認知されているそうです。世界的な抹茶ブームの火付け役になったと言われているのが、スターバックスさんの抹茶ラテ。日本から逆輸入された抹茶ラテはすぐに欧米人の心をつかみ、2~3年前からニューヨークやロサンゼルス、メルボルンなどでも抹茶カフェが続々とオープンしているのだとか。特に日本の緑茶は人気が高く、現在では「Matcha」という言葉も通じるようになってきているそうです。

世界での中国緑茶・日本緑茶の評価!?

抹茶や緑茶の評価が高まる一方で、アメリカのメディアでは「偽物に気をつけろ」という特集を組まれることがあるようです。その背景にあるのは、抹茶人気にあやかって中国が抹茶パウダーの輸出を強化していること。サンプル検査を行った中国緑茶に禁止されている除草剤が複数見つかった事件もあり、粗悪品に注意するよう呼び掛けもされているようです。そもそも中国の緑茶と日本の緑茶は味や香りにおいて別物ですから、欧米の方たちの感覚でも別モノとみられているようです。

良質な緑茶が飲める環境を楽しまないのは損!

欧米では日本の抹茶・緑茶の需要が年々高まっていますが、実は世界の緑茶の1%しか日本産はありません。中国産が80%近くを占めていることもあって、価格差は3~5倍にもなるのだとか。一方で、当たり前のことながら日本国内では日本産の緑茶が簡単に手に入ります。良質で安全な緑茶を気軽に楽しむことができる日本の国内環境は、海外から見るととても恵まれていると言えそうです。しかも、今は新茶の季節。栄養をたっぷり含んだ緑茶を楽しまないと、大きな損だと言えるでしょう。

邪道!?外国人の緑茶の飲み方?

海外では、日本人の常識とは大きくかけ離れる緑茶の飲み方がたくさんあるようです。砂糖、はちみつ、レモン汁などを入れる人も多く、中にはリンゴやスイカ、洋ナシを入れるというツワモノも!?中国でさえペットボトルのお茶は甘く味付けされているのが主流で、実は日本の大手メーカーも海外では加糖にしているのだとか。品質の良い日本の緑茶は甘みも含まれているため砂糖を入れる必要がなかったのかもしれませんが、海外ではそうはいかないようです。茶道の先生には叱られるかもしれませんが、冒険気分で何かを入れると気分転換になるかもしれませんね。

まとめ

冒頭でもお話しした通り、5月2日は「八十八夜」。新茶・一番茶の茶摘みが行われる日です。冬の間に蓄えられた栄養がたっぷり詰まった新茶はより健康に良く、八十八夜に摘んだお茶は「寿命が延びる」とも言われてきました。日本に住んでいる特権ですから、ぜひこの時期には日本茶を楽しんでくださいね。