お茶の風味が大きく変わる!茶の木の栽培で避けては通れない除草の大切さ

初夏の爽やかさを感じる季節ですが、すぐにやってくるのが梅雨。じめじめとした湿気が苦手な人は少なくありませんが、作物の栽培にとって雨の恵みはとても大切です。でも、雨の恩恵を受けるのは、作物だけではありません。初夏に向けて農家の人を悩ませるのが、雑草の繁殖。茶園でも、除草作業は欠かせない仕事になっています。もしも、雑草が生えたままだと、お茶の栽培にどんな影響が出るのでしょうか。おいしいお茶づくりに欠かせない除草作業の大切さをぜひ知ってみてください。
茶園にとって雑草は大敵
品質に優れた茶葉を育てるには、十分な水分と日光、そして養分が欠かせません。温暖で湿度が適切な土地が、茶園の立地条件として最適。適度な日照があると同時に、排水性に優れた土壌が理想とされます。また、ph5.5~6.5程度の酸性の土壌で、養分が多く肥沃であることも重要。静岡は茶の木の栽培に非常に適していることから、日本有数の産地となりました。その一方で、肥沃な土壌は他の植物にとっても理想的な環境。雑草は茶の木と水分や養分、日光を取り合うため、放置していると茶の木の生育を妨げます。特に、育成期に雑草が増えると、茶葉の品質に大きな影響を与えるので、お茶の生産業者にとって雑草は大敵と言えるでしょう。
病気の原因にもなるので除草が欠かせない
雑草は、茶の木の生育を妨げるだけでなく、病害のリスクも高める存在です。品種によっても異なりますが、茶の木が発病する病気としては「炭疽病」「赤焼病」「輪斑病」「新梢枯死病」などがあり、雑草によって病気に感染する可能性が高まります。また同様に、害虫が繁殖する温床にもなるため、茶園にとって除草作業は絶対に欠かせないものとなっています。
除草剤の使用は最低限。人の手で守られる茶園
茶園にとって除草は、茶の品質を守る上で非常に重要ですが、大変な重労働です。しかも、除草作業のほとんどは、手作業か機械によるもので、化学的な除草剤の使用にはとても慎重です。除草剤は雑草の繁殖を抑える効果が期待できますが、同時に土壌にも影響するため使用を控える茶園が少なくありません。使用する場合は、散布する量やタイミングをしっかりと見極める必要があります。そのため、多くの茶園では手作業や機械作業による除草が行われています。
雑草を防ぐ茶園の工夫
茶園では、雑草の繁殖を抑えるため、日々さまざまな工夫が行われています。代表的なのが、マルチングという手法。土壌の表面を藁やチップなどで覆うことで雑草を抑制し、病害虫を寄せ付けなくする技術です。さらにマルチングにはメリットがあり、土の表面を覆うため水分の蒸発を抑え、乾燥を防ぐ効果も期待されます。気温が高くなる夏場には、土壌の温度が上昇し過ぎるのを抑える必要がありますが、茶葉だけでなく多くの農作物の栽培で活用されています。
定期的な管理でおいしいお茶が作られる
とても多くの労力がかかる除草作業ですが、大切なのは定期的に行うこと。雑草が繁殖して、土壌の養分が失われないうちに、しっかりと対策する必要があります。日々、茶園の管理を行い、良質な茶葉の生育に取り組む農園のみなさん。地道な努力なくして、おいしいお茶は作れません。そんな作り手の想いに触れながら、ぜひお茶を味わってみてください。