お茶がおいしくなるピークはいつ?茶の木から安定して茶葉を収穫できる期間と寿命について


茶の木は、ツバキ科ツバキ属の植物。多年草でとても丈夫ですが、もちろん寿命があります。また、苗から育てて茶葉を収穫できるまでには時間が必要で、品質に優れた茶葉が採れる時期も限られています。1本の茶の木から茶葉ができるまでのプロセスや育つ過程、さらに寿命について解説してみます。

茶の木は挿し木で増やすのが一般的

茶の木は作物の一つで種から育てるよりも、「挿し木」によって繁殖させるのが一般的です。全体のおよそ95%が挿し木で育てられていると言われています。挿し木とは、植物の茎や枝などを切り取って土壌に植え、発根させて増やす方法。いわばクローンを作るわけです。一方、種から育てるのが、「実生栽培」という方法。種から育てるため、より自然に近い状態で栽培できるのですが、量産するには高い技術が必要です。

安定して高品質な茶葉を生産できるのが挿し木の特徴

茶の木のクローンを増やす挿し木の場合、収穫する茶葉の色、形、大きさなどが整っていて、常に安定して品質を担保することが可能です。一方の実生栽培の場合は、育つ茶葉の品質に大きなバラツキがあり、管理が容易ではなく、お茶の仕上がりにも違いが生じてしまいます。また、悪天候や病害にも弱く、環境の変化で著しく収穫量が落ち込むなど、生産面で安定性を欠くため、挿し木での繁殖がシェアのほとんどを占めています。

茶の木の育て方

茶の木は、その年に伸びた枝を挿し木にして増やします。6~7月、もしくは9~10月に行い、それぞれ「夏挿し」「秋挿し」と呼ばれています。挿し木した後はしばらく遮光して、たっぷりの水を与えてあげるのがポイントです。挿し木から2年をかけて苗を育てて、春(3~4月)ごろに、畑に植え替えます。新たに植えた苗が大きくなるまでには、5年程度の時間が必要です。その間も枝を剪定して整え、雑草が繁殖しないように、しっかりと手を入れて育てます。

茶の木の寿命は30年~50年

茶園の立地や気候、自然環境などによっても違いがありますが、茶の木の寿命はおよそ30~50年。さらに、最も品質に優れた茶葉を収穫できるのは8年目だと言われています。摘採する新芽が育つのは、年間で3~4回。その年に最初に採れるのが一番茶で、続いて二番茶、三番茶となります。春から夏にかけて摘採し、冬は茶の木を休ませる期間。静岡では、秋に刈り取ったススキやササを乾燥させ細かく刻み、茶畑の畝に敷く「茶草場(ちゃくさば)農法」が普及していて、茶の木がしっかりと育ち、おいしいお茶が収穫できるようになっています。

年間を通じて手を入れ、品質の良いお茶が作られる

茶の木の育て方から摘採するまでを解説しましたが、茶園ではほかにも年間を通じてさまざまな作業が行われています。育成状況に応じて枝を整えたり、育ち過ぎた箇所を深く刈り落として、栄養が全体に行きわたるよう樹勢を回復させたり。茶園の土壌をバランスよく整えることも重要で、有機肥料やミネラル豊富な土が加えられるなど、たくさんの苦労と努力の上で、皆さんにおいしいお茶が届けられています。そんな生産者の手によって愛情込めて作られるお茶をぜひ味わってください。