「日本茶の日」が年2回!?秋の飲み物の記念日。


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毎年10月・11月は、お茶業界にとって特別な時期。10月上旬からは日本茶の需要が増えるとともにイベントなども開催され、業界全体が活気づくからです。しかも「日本茶の日」や「紅茶の日」「玄米茶の日」など、記念日が目白押し。「日本茶の日」に至っては、何故か10月に2回も存在します!?というワケで、今回はお茶を中心にした記念日についてのお話です。

「日本茶の日」は年2回!?

記念日とは、国や自治体、それに準ずる機関に認定されなければならないものではありません。商店会が創立を祝うローカルなものも、企業が特定の商品をPRするために定めたものも立派な記念日。個人がプライベートな記念日を申請しても、認定団体は受付をしてくれるそうです(ただし登録費用が必要で審査もあります。また、認定を受けたからといって法的な保証・利益はありません)。このような背景もあり、日本には「日本茶の日」が10月に2回も存在します。ひとつは、大手飲料メーカーである株式会社伊藤園さんが制定した10月1日。もうひとつは制定者不明の10月31日。もちろん、どちらが正しいというワケではありません。どちらもお茶にまつわる歴史的イベントを記念した日なのです。ちなみに、「緑茶の日」は5月2日、「抹茶の日」は2月6日で別に存在します。

【日本茶の日(1)関白太政大臣・豊臣秀吉の10月1日!】

10月1日は、豊臣秀吉が主催した「北野大茶湯」の日程にちなんで「日本茶の日」に制定されました。天正15年(1587年)に開催されたこの茶会は、大名も庶民も外国人も参加できる画期的なもの。秀吉のほか、千利休、津田宗及、今井宗久といった当時最高峰の茶人が茶をふるまい、お城に匹敵するほど価値がある茶器も展示されたのだとか。余談ですが、このお茶会は当初10日間の予定でしたが1日で中止されたそうです。肥後で一揆が発生したことが最大の原因ですが、秀吉が飽きた説や秀吉アルツハイマー発症説など、色々裏の事情もあったようです。

【日本茶の日(2)臨済宗の開祖・栄西の10月31日!】

10月31日が「日本茶の日」になった理由は、臨済宗の開祖・栄西が(2度目の)帰国をしたことを記念して。建久2年(1191年)に宋から帰ってきた栄西は、抹茶の元となるお茶とその飲み方を持ち帰っていました。実は栄西の時代より前にお茶は伝来していましたが、当時は団茶と呼ばれる焦がす寸前まで炒り、粉にしてから固める飲み方。非常に苦いこともあって普及せず、遣唐使の廃止とともに廃れていたと言います。そこで栄西は現在の日本茶に近い飲み方を持ち帰り、日本に喫茶文化を普及させたのです。お茶に関する日本最古の書「喫茶養生記」を記したのも栄西でした。

秋は、飲料の記念日のオンパレード!?

10月・11月に記念日を制定しているのは、日本茶だけではありません。例えば、「玄米茶の日」は11月1日。全国穀類工業協同組合が、あえて「日本茶の日」の翌日を選んで制定したそうです。玄米茶は番茶や煎茶に同量程度の炒った玄米を混ぜて作るお茶ですから、半分はお茶・半分は穀類。親近感を込めてこの日に決めたのではないでしょうか。また、その他にも飲み物の記念日がズラリと並びます。ここでは、10月・11月の記念日をご紹介します。

【11月1日は紅茶の日!】

緑茶と紅茶の原料は同じ。チャノキという同じ植物から作られています。極めて近い関係の緑茶と紅茶ですが、記念日も1日違いとなっています。「紅茶の日」が定められたきっかけは、江戸時代後期の回船(運輸船)船頭・大黒屋光太夫が日本人として初めて本格的な紅茶を口にしたこと。1782年に伊勢の白子港を出港した光太夫の船は海難に会い、7ヵ月近く漂流した末にロシア領にたどり着きます。その後、光太夫は首都サンクトペテルブルグまで1万キロにもおよぶ距離を移動し、帰国の許可を得るに至りました。そして出国直前の1791年(寛政3年)の11月1日、光太夫は女帝エカテリーナ2世に招待された茶会で本格的な欧風紅茶を飲んだと言われています。この歴史的事件を記念して、「紅茶の日」が日本紅茶協会により定められました。

【その他、飲み物の記念日】

10月1日に定められているのは、「日本酒の日」と「コーヒーの日」。前者は1978年に日本酒造組合中央会が、後者は1983年に全日本コーヒー協会が定めました。続いて10月12日は「豆乳の日」。10(とう)2(にゅう)と語呂合わせになっているのだとか。10月26日の「青汁の日」も同様で、10(アルファベットの「I」「O」に見立てて「あお」と読む)26(じる)と言葉のギミックが仕掛けられています。そして、11月1日は「泡盛の日」と「本格焼酎の日」。前述の「玄米茶の日」「紅茶の日」と同日に酒類の記念日も定められていて、この日は色々な飲み物を楽しむことができそうです。

(まとめ)

多くの場合、飲み物の記念日には特別な意味はありません。しかし、特別な日に贅沢な一杯を楽しむのはとてもオツなもの。この機会に挑戦してみてはいかがでしょう?また、お茶や紅茶の場合は、記念日にイベントや割引セールを開催するお店も多いようです。欲しい銘柄が決まっている方は、記念日に注目すれば少しお得になるかもしれませんよ。