もうすぐ中秋の名月!お月さまとお茶で、日本の風情を味わいましょう。


image1

まだまだ厳しい残暑が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?暦の上ではすでに秋に入っていますが、季節の移り変わりを感じられるのはまだまだこれから。日本人が秋を意識し始めるのは、お月見の頃からでしょうか。お月さまを眺めながらお団子をいただく、というのはとても涼し気で風流なものですね。もちろん、お団子のお供には日本茶がよく合います。というわけで、今回はお月見とお茶のお話です。

1.お月見のこと、知っていますか?

お月見とは、旧暦の8月15日「十五夜」にお月さまを鑑賞する行事のこと。お団子、お餅、里芋、ススキなどをお供えしてお月さまを眺めます。詳しいルーツは分かっていませんが、平安時代から奈良時代にかけて中国から伝わったという説が有力なのだとか。当初は貴族の催しだったそうですが、後に収穫を祝うお祭りの要素が加わって庶民に広まりました。旧暦8月15日のお月さまを「中秋の名月」と言いますが、この日が必ず満月になるわけではありません。また、旧暦(太陰太陽暦)と太陽暦ではシステムが異なるため、旧暦8月15日にあたる日も年によって異なります。2016年は9月15日が中秋になり、満月は9月17日に現れるようです。

【ご存知ですか?お月見の正式な作法】

正式な作法では、お月見団子は三宝という器(台)に乗せて供えます。三宝がない場合はお盆やお皿でも代用可能。白い紙を敷き、15個(1段目に3×3個、2段目に2×2個、3段目に2個)または12個(1段目に3×3個、2段目に3個)のお団子を並べます。そしてお月さまが見える場所(該当する場所がない場合は床の間)を選び、お月さまから見て左側にススキや野菜、右側にお月見団子を配置しましょう。

【地方によって違うお団子の種類!?】

お月見団子と言えば、白くて丸いものを思い浮かべる方も多いのでは?でも実は、お月見団子は地方によって大きく異なります。白くて丸いお団子にも、あんこの有無やお団子そのものに甘味が付いているもの・いないものがあるそうです。東北地方ではこしあんや黄身あんの入ったおまんじゅうタイプ、静岡県では平たいお団子の中央がくぼんでいるへそ型(付け合わせのあんこをくぼみに乗せて食べます)、愛知県ではういろう生地を使用したしずく型(白・茶・ピンクの3色あり)、関西地方では里芋のような形のお団子の一部にあんこが巻いてあるタイプ、中国・四国ではくし型(あんこ、きなこ、みたらしなど味のバリエーションあり)などが主流なのだとか。

【お団子と日本茶!】

日本人なら、お団子と日本茶の組み合わせを疑う人はいないでしょう。もちろんお月見団子にも日本茶がよく合います。ただし、お団子の性格によって合うお茶は変わってくるもの。お住まいの地域のお団子に合うお茶を探してみてはいかがでしょうか?一般的には、こってりしたお菓子にはさっぱりしたお茶(ほうじ茶・玄米茶・番茶など)、甘味の強いお菓子には苦渋味の強いお茶(煎茶や抹茶など)、みたらし味のお菓子にはほうじ茶や煎茶、きなこ味のお菓子にはほうじ茶などが合うと言われます。甘味・苦味・渋味・濃さなど自分なりのアレンジを見つけると、お月見も一層楽しくなるはずです。

2.お茶を使ってお月見をアレンジ!?

お団子&日本茶という定番の組み合わせはとても素晴らしいものですが、たまには趣向を変えてみるのはいかがでしょう?ひと工夫を加えれば、風情も増すこと間違いなし。ここではお茶を使ったアレンジ技をご紹介します。

【お茶の香りを楽しもう。茶団子の作り方!】

ご家庭でお団子を作るなら、緑茶を使った茶団子はいかがでしょうか?お茶の風味や渋味・甘味などを感じられるので、風情も一層増すでしょう。必要な材料は、団子粉100g(3人分)、砂糖20g、茶葉小さじ1~2杯(お好みで調整してください)、ぬるま湯110ccだけ。抹茶はもちろん、ほうじ茶や煎茶でも美味しくいただけます。簡単な作り方は以下の通り。

(1)茶葉をすり鉢やミキサーですり潰す(粉末の場合は、そのままでOK)

(2)団子粉に砂糖・粉末茶を混ぜ、よく混ぜる。

(3)ぬるま湯を少しずつ加えながら、耳たぶの柔らかさになるまでよく練る。

(4)一口サイズに丸め、沸騰したお湯に入れる。

(5)浮き上がってきたら取り上げ、串に刺して完成。
  ※きなこや抹茶、あんこを追加でかけてもOKです。

【お茶を加えて風流な月見酒を!】

月見酒という言葉があるくらいですから、お酒はお月見の風情にもマッチします。みたらし味ならそのままの日本酒ともよく合いますが、ちょっとひと工夫してみてはいかがでしょう。日本酒と緑茶を1:1で作った緑茶割なら、日本茶と緑茶両方の風味を楽しむことができます。オンザロックグラスに冷酒と冷茶の組み合わせで作るのがおススメです。

(まとめ)

実はお月見は、旧暦8月15日だけでなく9月13日(2016年の太陽暦では10月13日)にも行われます。8月15日の「十五夜」「中秋」に対しこちらは「十三夜」「後の月」「栗名月」とも呼ばれ、月見団子の他に栗や枝豆をお供えするのが特徴です。注意していただきたいのが、十五夜または十三夜のどちらかだけしかお月見をしないことを「片見月」と言い、縁起が悪いとされてきたこと。忘れないように心掛けましょう。