淹れる温度でお茶の味が変わる!温度で味が変わるお茶のメカニズムとは?
おいしくお茶を淹れるには、どれぐらいの熱さのお湯が最適なのでしょうか?一般には、65度前後だと言われていますが、必ずしもそうであるとは言い切れません。実は、お茶の種類によって最適な温度は異なります。さらに、お湯の温度を工夫することで、自分好みの風味にもできるのがお茶の魅力です。今回は、お湯の温度でお茶の味が変わるメカニズムを解説してみます。
渋みと苦みが欲しいなら熱いお湯
お茶には、カテキンやタンニンなどの成分が含まれていて、これらが抽出されてお茶独特の苦みと渋みが生まれます。しかも、温度が高ければ高いほど強く引き出されるのが特徴です。眠気覚ましに渋いお茶を淹れたい時には、熱くしたお湯を用意してください。
うま味は低温で引き出す
一方、温度の低いお湯を使うと、アミノ酸などのうま味成分が抽出されやすくなります。どのぐらいの温度がいいのかというと、60度が一つの目安です。茶葉は60度でアミノ酸類の抽出量がピークに達し、60度を超えるとカフェインが一気に引き出されるメカニズムになっています。
玉露のうま味成分は煎茶の2倍
玉露には渋みの元となる成分が少なく、一般的な煎茶の75%だとされています。その一方で、うま味となるアミノ酸類や甘みであるテアニンといった成分が、煎茶の2倍も含まれています。そのため、玉露の風味を最大限に引き出すには、ぬるめのお湯が最適。60度以下(50度前後)のお湯を使って、渋みを抑えてうま味たっぷりの状態で味わうのがおすすめです。
高温でしっかりと香りを立たせる
渋みや甘みといった風味だけでなく、お茶で重要なのが香り。特に、玄米茶やほうじ茶、中国茶といった香りの良さが特徴のお茶では、引き立たせ方が大切になります。お茶の香りを強く出すには、高温のお湯が適しています。100度近くまで熱したお湯でさっと淹れ、香ばしい香りを楽しんでみてください。
紅茶も熱いお湯が最適
日本茶とは違いますが、同じように茶葉を使っている紅茶も、高温のお湯がもっともおいしさを引き出します。しっかりと沸騰させたお湯を使うのと同時に、ポットや器も温めておくのがコツ。ポットに茶葉を入れたら、勢いよくお湯を注いで、ほどよく空気と一緒に攪拌させると良いでしょう。コーヒーのようにゆっくりとお湯を注いで抽出することは適しません。5分ほど蒸らせば、香りと風味を存分に楽しんでいただけます。
自分好みの淹れ方を探してみよう
温度が高ければ渋みと苦みが増え、低ければうま味が引き出されるお茶。いつもの茶葉でも、ひと手間加えるだけで、違う風味が楽しめます。自分好みの味を見つけるには、いろんな温度で実験してみるのがおすすめです。「お茶がおいしいのは65度」という考えは一度忘れて、ぜひ試してみてください。きっと新しい味に出会えるはずです。