お茶をもっと本格的に楽しむために。急須にこだわってみませんか?


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おいしいお茶を淹れるためには、茶葉やお湯、淹れ方などに気を配ることが大切です。ですが、お茶のおいしさを決める要素はそれだけではありません。急須によって味が大きく変わることを皆さんご存知でしょうか?せひ一度、同じ茶葉、同じ淹れ方で、急須を変えて飲んでみてください。もっとおいしく日本茶を楽しむために、今回は急須のお話をお届けします。

1. 急須の役割、ご存知ですか?

そもそも急須とは、乾燥させた茶葉を入れて湯を注ぎ、茶葉が開くのを待ってお茶を茶碗などに注ぐ道具。注ぎ口と直角に持ち手が付いているものを急須、注ぎ口と正反対の側に縦に持ち手がついたものを(ティー)ポット、注ぎ口の上に持ち手が前後についたもの土瓶と言います。急須は持ち手を下にして立たせた時に上手に立つバランスの良いものが理想です。

お茶を美味しく淹れる急須の条件は、

  1. お湯を入れた時に茶葉がよく回ってなじむこと。
  2. 湯呑や茶碗に注ぐ時にスムーズに出るよう口がきれいに仕上がっていること。
  3. 急須の中のお茶を残さず注ぎ切ることができること。

また、素材や大きさ、茶こしの種類など様々なものがあり、それぞれ特徴があります。

急須の素材について~陶器の急須~

一般的な急須の素材は、陶器・磁器・耐熱ガラス・鉄など。陶器は粘土を1200度前後で焼成した焼き物です。代表的なものは常滑焼。素地のガラス化が十分ではないので吸水性・保温性に優れ、土の成分によってお茶の渋みと旨みをバランスよく浸出すると言われています。ただし、香りや成分が急須本体に吸着するため、ひとつの急須で色々なお茶を飲むと香りが混ざってしまうので注意してください。

急須の素材について~磁器の急須~

磁器は、岩石を砕いた石粉を1300度以上で焼成したもので白色をしています。ガラス化が進んでいるため吸水性がほとんどなく、保温性も陶器に劣ります。有名なものは、有田焼や九谷焼。しっかり洗浄すれば、陶器と違って急須本体に香りや成分が移ることはありません。それだけに、ひとつの急須で色々なお茶を楽しむことが可能。また、その性質から玉露など香りの強いお茶にも適しています。

急須の素材について~その他の急須~

耐熱ガラスは磁器と同じように香りや成分を吸着しないため、色んなお茶をひとつの急須で淹れることが可能。保温面では劣りますが、その分急須の中を視覚的に楽しむことができます。また、鉄瓶は厳密な意味で急須ではありませんが、お湯を沸かすと二価鉄を含んだ鉄分が溶出するため、鉄分補給に良いとされています。

2. 急須を選び、育ててみましょう。

旨味と渋み、香りを引き出し、一杯の味にこだわりたい方は、陶器製の急須を。色々な茶葉をひとつの急須で楽しみたい方は磁器の急須を選びましょう。また、素材による違いだけでなく、他の要素でもお茶の風味が変化します。ここでは、素材以外でお茶の風味に影響を与える要素を簡単にご紹介します。

急須のサイズを選ぶ

お茶を淹れる人数と急須の大きさが合っていない場合は、しっかり抽出できないこともあります。1人なら150~200ccのサイズ、2~3人なら300~350cc程度の急須を選びましょう。また、玉露や上級煎茶の場合は少な目のお湯で淹れるため、小さな急須を使います。玉露で一人前の場合は100 ccのサイズが目安。その他、玄米茶やほうじ茶などはお湯をたくさん使う方が美味しく淹れられるため、800ccの急須や鉄瓶が別にあればより便利でしょう。

茶こし(網)で選ぶ

急須の中の茶こしにも、色々な種類があります。大きく分類すると、陶製のもの、金属製のものの2種類。陶製の茶こしはお茶の味を自然に保ちますが、金属製と比べて目詰まりしやすいのが弱点です。また、茶葉が急須の中でよく回り(ジャンピングし)、お茶の旨みが出やすいため、一杯の味にこだわる方向けだと言えるでしょう。一方、金属製の茶こしは茶葉を捨てやすく洗いやすいため、日常使いには便利です。ただし。金属臭が気になるなど、風味にこだわる方にはお勧めできません。

急須を育てる

陶器の急須は使い込むほど味わいが増し、見た目も色艶にも深みが出ます。これは、素地の微細孔に茶渋がしみこんでいくため。中国では「急須は育てるもの」「急須と友人は古い方が良い」と言われ、急須を使い込んで香りを移していく「養壺」という文化もあります。やり方は簡単。まずは、茶葉の種類をひとつに限定すること。そして、使い終わった後は洗剤を使わず熱湯だけで洗い、自然乾燥させます。これを続けていくうちにお湯を注ぐだけで香りが立ち、風味に深みが増していきます。

(まとめ)

近年は、雑貨店やセレクトショップで急須を見かけることも増えました。かわいいデザインや美しい色合いのものも多く、気になっている方も多いのではないでしょうか?ただし、より良い日本茶ライフを過ごすためには機能も重要です。茶器の知識を深めて、一段上の日本茶をぜひ楽しんでみてください。