いろんな茶葉を挽いて飲む「お茶メーカー」を購入する前に知ってほしいこと。


20140611

皆さん、こんにちは。ブログ担当のちゃのです。最近、ちまたでは「コーヒーメーカー」ならぬ「お茶メーカー」が流行っているそうですね。いろんな茶葉を挽いて抹茶のように楽しむ機械だそうです。特にシニア層からの人気が高いらしいので、「父の日のプレゼントにいいかも?」なんてお考えの方も多いかもしれません。しかし、それはお茶の楽しみ方の王道とは言えないのです。煎茶も抹茶も元々は同じ植物。挽いて飲むことを想定して加工をしたのが抹茶、急須で楽しむことを想定して作っているのが煎茶をはじめとする他のお茶です。メーカーとしては「何も知らず、全ての茶葉を挽いて飲んでしまってはもったいない」と言わざるとえません。というわけで、本日は日本茶の違いをお話ししていきます。

【そもそも、お茶ってなに?】

ツバキ科ツバキ属の常緑樹「チャノキ」の葉や茎、芽をお湯に入れて成分を浸出した飲み物のこと。日本では他の植物を使ったものもお茶と言いますが(茶ではない茶や茶外茶などと呼ばれます)、厳密な意味でのお茶は、チャノキを原料としたものだけです。

【茶ではない茶、茶外茶ってなに?】

麦茶、桑の葉茶、柿の葉茶、どくだみ茶、よもぎ茶、アロエ茶、黒豆茶、そば茶、昆布茶、各種ハーブティ、杜仲茶、ルイボスティ、マテ茶などなど、チャノキ以外を原料にしたお茶。根や実など堅い部分はNGですが、葉を使用したものはお茶メーカーで使用できるようですよ。

【発酵するかしないかで緑茶や紅茶に】

チャノキは、加工方法によっていろんなお茶になります。かんたんに言えば、酸化発酵させたのが紅茶、半発酵状態にしたのが烏龍茶、発酵させないのが緑茶というわけ。緑茶は主に釜炒り製(茶葉を釜で炒ってつくること)の中国式と、主に蒸し製(蒸気で蒸してつくること)の日本式があります。

【日本式のお茶(蒸し製緑茶)ってなに?】

日本式の緑茶の種類は大きく分けて、煎茶、玉露、かぶせ茶、玉緑茶、碾茶(てんちゃ)、番茶、再加工茶の7種類。チャノキの栽培方法や、茶摘み後の工程の違いによって最終的な味わいが変わってきます。

【煎茶ってなに?】

新芽が出てから摘み取りまで、ずっと日光を浴びせて育てたチャノキを使った日本茶。程よい渋みさわやかな香り、すっきりとした味わいが特徴です。日本の流通の80%を占めている、最もポピュラーなお茶だと言えるでしょう。「普通煎茶」と、蒸す時間を約2倍かけてつくる「深入り煎茶」があります。

【玉露ってなに?】

茶摘みの約3週間前から日光をさえぎって育てたチャノキを使った日本茶。光合成を止めることで旨み(テアニン)を増やし、渋み(カテキン)を減少させています。甘みとコクのある味わいが特徴です。「覆い香」と呼ばれる特徴的な香りを持ちます。

【かぶせ茶ってなに?】

玉露と同じように、日光をさえぎって育てたチャノキを使った日本茶。遮光期間は玉露より短く、煎茶と玉露の中間的な味わいが得られます。熱めのお湯で抽出すれば煎茶よりのさわやかな味に、ぬるめのお湯で抽出すれば玉露よりの旨みのある味になるのが特徴です。

【玉緑茶ってなに?】

煎茶と同じように栽培したチャノキを使い、水分を除きながらもみほぐして形を整える工程で丸く縮ませた日本茶。黄緑色でほのかに甘く、さっぱりとした口当たりが特徴です。ちなみに、玉緑茶には釜炒り製のものもあります。

【碾茶(てんちゃ)ってなに?抹茶ってなに?】

玉露と同じように栽培したチャノキを蒸し、乾燥させたお茶。乾燥後に茎や葉脈を取り除くので、他のお茶のように揉み上げる工程がありません。そして、この碾茶を石臼で細かく挽くと「抹茶」ができあがります。茎や葉脈を取り除くのは、挽いた時に雑味を出さないため。挽くことを想定した処理が、抹茶の味を高めているのです。ちなみに、碾茶の状態で一般に販売されることはあまりありません。

【番茶ってなに?】

煎茶用の新芽を摘み取ったあとに残ったやや硬い葉で作るお茶。または、一度収穫した後、遅れて伸びた茶葉(遅れ芽)を原料としたお茶。日本茶製造の主流から外れたお茶で、価格も非常に安くなっています。語源は、番外編のお茶だそうですよ。

【再加工茶ってなに?】

煎茶や番茶などを炒った(焙じた)ほうじ茶や、水に浸して蒸した玄米を炒って番茶や煎茶を加えた玄米茶など、一度製茶したものに再び手を加えて生み出されるお茶。番茶とはまた違う意味で番外編的なお茶だと言えるでしょう。

ここまででご紹介してきた抹茶以外の日本茶は、全て「お茶メーカー」で使用できるようです。挽くことで茶葉全てを飲む(食べる)ことになるため、栄養摂取という意味では非常に効率的ではないでしょうか。その一方で、抹茶以外の日本茶は全て急須で楽しむことを想定しています。種類によっておいしいとされる淹れ方がそれぞれあり、各メーカーはそれを想定した調整をしてきました。お茶を楽しむという観点では、「どれもこれも挽いて飲む」という行動は決して正解ではないのです。もちろん「お茶メーカー」が悪いものと言いているわけではありませんので、ぜひケースバイケースで使用するようにしてみてくださいね。