暑い国のお茶文化


例年以上の猛暑の日々、いかがお過ごしでしょうか?ところで暑いときにはどんなお茶を飲んでいますか?日本では冷たい緑茶や麦茶などが一般的かと思いますが、日本以外の暑い国ではまた違った常識があるようです。暑い国ではどんなお茶が飲まれているのか、いくつかピックアップしてご紹介します。

ミントティー(モロッコ)

モロッコは大西洋と地中海に面した北アフリカの国。モロッコの夏は平均気温が40度以上にもなるのだそうです。
そんなモロッコの暑さ対策がミントティー。モロッコミントティーと呼ばれる中国緑茶の茶葉に、大量の砂糖と大量の生ミントの葉を入れて煮出して作ります。ミントはスーッとした爽快感があるハーブ。メントールのおかげで強い抗菌効果や清涼作用、血管を広げる効能があるといわれています。

甘さでエネルギー補給

日本でミントティーというと爽やかなハーブティー、というイメージがあると思いますが、本場モロッコのミントティーは日本人には信じられないほどの甘さだそうです。
甘みにはエネルギーを補給してくる側面もあります。暑さの中では体力を消耗しやすいですが、それを甘いミントティーで補っているのかもしれません。

ミントの清涼感

また、モロッコの人々は1日中熱々のミントティーを飲む習慣があるそうです。熱々でもミントのおかげで清涼感があり、なぜかすっと汗がひく感じがあるとのこと。
確かに、暑いときに熱いものを食べると大量に汗が出ますがその後暑さが少し和らぐような気がしますよね。

モロッコのカラッとした気候に甘くて爽やかなミントティーは絶妙に合うのだそうです。暑くて乾燥した国で飲むからこそいっそう美味しいと思えるのかもしれませんね。

涼茶(リョンチャ)(香港)

香港で、暑い夏に暑気払いとして飲むお茶です。お茶といっても茶葉で淹れるお茶ではなく、利尿作用や熱を取る作用のある漢方薬が使われているドリンクのこと。涼茶というのはそのような漢方茶の総称で、細かい効能の差によっていくつもの種類に分かれているそうです。その中で体にこもった熱を排出する効能があるものもあるようです。

漢方というと苦そうなイメージがありますが、実はミントティー同様、とても甘いとのこと。元々の味が苦いため、飲みやすくするために砂糖を入れているそうですよ。

健康管理のための涼茶

涼茶は何も暑いときにだけ飲むものというわけではありません。香港では脂っこいものの取りすぎ、消化不良、ストレスなどがあると体内に「熱気(イッヘイ)」が過剰に溜まり、それが体の不調につながると考えられています。涼茶はそんな熱気を取り除き、体のバランスを整えてくれるものでもあるのです。風邪に効くもの、乾燥して喉が痛いときに効くものなど、いろいろと種類があるそうです。

香港にはこのような漢方茶を気軽に飲めるスタンドが街中にたくさんあるようです。体調を崩しやすい、暑い季節にはうらやましいですね。

チャイ(インド)

暑い国といえば、インドもおなじみです。インドでよく飲まれているのはミルクとたっぷりの砂糖、そしてスパイスを入れて煮出した紅茶、チャイです。
インドの人たちはこの熱くて甘くてスパイシーなチャイが大好きで、あちこちにあるチャイ屋に仕事の合間などにちょっと立ち寄り、1日に何杯も飲むのだそうです。

水分とエネルギー補給し、スパイスで体を活性化

暑い国で熱いチャイ。なんだか矛盾しているようですが、ミルクで煮出した甘い紅茶は暑さで疲れた体に水分とエネルギーを補給してくれます。

また、スパイスが弱った体の働きを活性化させ、気分をしゃきっとさせてくれるそうですよ。
たとえばチャイによく使われるジンジャー(生姜)は消化を助けたり体を温めたりする効果があるといわれます。また、カルダモンは胃腸を守る働きが、クローブは防腐効果や鎮痛剤としての働きが、胡椒には食欲を増進させる働きがあるといわれています。
暑いときには体の機能が低下しがち。スパイス入りのチャイを暑い季節に飲むのは理にかなっているのかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたか?海外の暑い国には暑い国なりのお茶の種類と飲み方があるのですね。それぞれの気候に合わせた独自の文化があり、とても興味深く感じます。まだまだ暑い日が続きそうですが、夏を乗り切るために、時には暑い国のお茶文化を取り入れてみるのもいいかもしれませんね。