伝統文化「闘茶」に親しむ



その昔、お茶は賭け事の道具にも用いられていました。今では伝統文化として受け継がれている「闘茶」です。南北朝や室町、そして幕末から明治にかけて大流行し、位の高い公家や僧侶から庶民に至るまで、多くの人が興じました。中には財を失くすほどのめり込んでしまった人もいるというこの「闘茶」。その歴史や楽しみ方などをご紹介します。

「闘茶」とは?

現在は、礼儀や服装に気をつかうことなく、誰もが参加できる伝統文化として、親しまれている「闘茶」とは?

日本の闘茶の起源

中国よりお茶の栽培方法などとともに伝わり、日本で独自の発展を遂げた茶遊戯。茶歌舞伎(ちゃかぶき)や茶香服(ちゃかぶき)、茶寄合(ちゃよりごう)とも呼ばれます。当時高級茶とされていた京都の「栂尾(どがのお)茶」(本茶)とそれ以外のお茶(非茶)を味や香りから飲み分け競い合ったことがはじまりと言われています。

遊び方

流派や時期によってルールは異なりますが、「花、鳥、風、月、客」の名前で分けた5種類のお茶を飲み比べ、産地や銘柄を当て勝敗をつけます。闘茶が始まるとまず運ばれてくるのが、5つの茶葉です。その見た目より、香りや味わいを想像します。茶葉を口に含むこともできるので、そこからさらにヒントを探ります。そして小さな器に入ったお茶が一つずつ配られ、色や香り、味わいを確かめたら、正解だと思う札を投札箱に入れ開封を待ちます。利き茶をしては、投票するという行程を繰り返すので、途中で間違いに気づいてもやり直すことはできません。一般的に、玉露2、煎茶3の割合で茶葉が選ばれており、この一連の行程を5回行って勝敗を決めます。

「闘茶」言葉はユニーク

全問正解した場合の呼び名を「皆点5点」とし、それ以降は正解数に応じて4点、3点…となりますが、全問不正解の場合は0点ではなく、「チョット(一寸)」とやわらかな言葉で表現されます。

使われる茶葉もいろいろ

ワインのテイスティングと同じように、産地や銘柄や製法など選ばれる茶葉の種類も多彩です。

茶種

玉露や煎茶、玄米茶やほうじ茶といったものから、深蒸し煎茶や釜炒り煎茶など、飲み分けが難解な茶葉を使う場合も。

品種

さえみどり、つゆひかり、やぶきた、ゆたかみどり、さやまかおり、べにふうきなど。同じ品種でも産地の違いで味わいも異なります。

産地

京都府の宇治茶や埼玉県の狭山茶、静岡県の静岡茶や福岡県の八女茶など、産地は北海道を除き全国にあります。

まとめ

いかがでしたか?「遊び」と呼ぶにはあまりにも加熱しすぎたため、室町時代には禁止令もでるほど人々を熱狂させた「闘茶」。今では、古き良き伝統文化として、お茶の産地の施設などで気軽に体験できるようになりました。「闘茶」に興じ、産地や銘柄、茶種の違うさまざまなお茶を飲んでみると、その多様な味わいと奥深さに驚かされます。今はインターネットで全国の茶葉をお取り寄せできるので、好みのものを集めて楽しんでみてはいかがでしょうか?