健康で美味しいお茶とは!?抹茶の季節と深蒸し茶について。


otya_170116 茶道を追求する方にとって冬が特別な季節であることを、皆さんご存知でしょうか?実は、抹茶は冬こそが旬。知らなかった方も多いのでは?ということで、今回は抹茶の旬と深蒸し茶についてのお話です。

抹茶の新茶は冬!?

一般的に「新茶の時期」と言えば春。お茶の葉は4月末から5月初頭に収穫の最盛期を迎え、順次ご家庭に届けられます。ただし、抹茶においてはその限りではありません。抹茶本来の風味や香りを出すためには、収穫後に碾茶の状態(石臼で碾きあげる前の原葉)で熟成保存する必要があるからです。ですから、正式な抹茶の旬は11月から。「蔵出し茶」「封切り茶」「熟成茶」などとも呼ばれ、毎年秋から店頭に並びます。ただし、近年は熟成前の抹茶を販売するお店もあるようです。初々しい香りで飲み口がさっぱりしているため、抹茶初心者の方にも飲みやすいのだとか。本格的な抹茶を楽しみたい方は秋や冬に、苦みのない抹茶を試してみたい方は春に抹茶を探してみてはいかがでしょうか。

【本格的な抹茶を楽しめるのは冬!】

茶道では、11月になると「口切りの茶事」という茶会が行われます。これは、5月に摘んだ新茶が詰められた茶壷の封を切って臼を碾き、その年初の濃茶を点てる行事。炉壇や畳、障子なども新しくし、新茶を口にする喜びを分かち合うため、茶人にとってのお正月とも言われています。このような背景もあり、冬こそ抹茶を本格的に楽しめる季節なのです。お茶の成分を科学的に分析できない時代でも、先人たちは経験から熟成の大切さを知っていたということでしょう。

【徳川家康も知っていた!熟成させた抹茶の美味しさ】

抹茶を好んだ徳川家康公は、大日峠など標高の高い場所に氷室を設けて新茶を入れた茶壷を保管し、秋になると居城に運ばせてお茶会を開いていたそうです。ちなみに、庶民が新茶を飲めるのは家康公が茶壷の封を切った後。このような歴史もあって、関東の人は熟成したまろやかな味の抹茶を好むようになったのだとか。逆に、関西の人はお茶の産地が多かったこともあって(家康公の時代にも静岡茶はありましたが、牧之原台地の茶園が大々的に増えたのは明治期)新茶を好んで飲むのだそうです。

【関東人の悩み!?渋味が少なく甘味の多いお茶】

近代に入り工業化が進んだお茶は、冷蔵庫の普及とともにかつてほど熟成されることがなくなりました。冷蔵庫の中は保存状態が良く、あまり変化が起こらないからです。そのため、関東の人々は「お茶が美味しくなくなった」と言うようになりました。現在でも、関東風のお茶に慣れた人が関西のお茶を飲むと、「香りが強く渋味が強い」と感じるのだとか。関東の人々の味覚は、今でも渋味が少なく甘味の多い熟成されたお茶求めていると言えます。

甘味を求めるなら、普段飲みに深蒸し茶はいかが?

熟成させた抹茶はとても美味しいもの。この時期は積極的に味わいたいところです。ただし、普段飲みをするには敷居が高いのも事実でしょう。そこで皆さんにおススメしたいのが煎茶の深蒸し茶。普通のお茶より時間をかけて深くじっくり蒸して作るお茶です。そもそも深蒸し茶は、昔からの熟成を加工で再現したもの。「旨みが減った」という声に対応するために生まれました。特徴は、渋味や苦味が少なく、まろやかでコク深い味わいを持っていること。その美味しさから、たくさんのファンがついています。

【おいしいとこ取り!?深蒸し茶の特徴(1)】

碾茶(粉末になっていない抹茶)を栽培する場合は、新芽を摘む約20日前に日光を遮って茶葉を育てます。茶葉の旨味成分であるテアニンは日光に当たるとカテキンに変化するため、美味しさを追求するにはテアニンを減らさない工夫が必要だからです。一方、カテキンは渋味のもとであるとともに誰もが知る健康成分。殺菌・抗酸化作用・整腸作用・血圧調整などなど、健康を助ける様々な効果があるとされています。それだけに、日光を遮らずに育てる煎茶はより健康に良いと言えるでしょう。そして、深蒸し茶は日光を遮らずに育てた茶葉を、蒸す工程で美味しくしたお茶。抹茶と煎茶、両方の良いところを備えていると言えるのです。

【おいしいとこ取り!?深蒸し茶の特徴(2)】

栽培方法の工夫だけでは、緑茶の健康成分を十分に摂りいれることができません。栄養面における抹茶の優れた点は、茶葉を丸ごと摂取するため栄養素を逃がさないこと。煎茶のように急須で淹れるお茶は不溶性の成分(水に溶けない成分)が抽出されないデメリットがあるのです。そして、深蒸し茶は長時間蒸すことで茶葉をやわらかくするお茶。茶葉の形が崩れやすく、一部が粉末になります。そのため、粉っぽい、見た目が良くないと言われることもありますが、それこそが栄養満点の証。普通の煎茶には含まれない健康成分(食物繊維・βカロテン・ビタミンE・ミネラルクロロフィルなど)も摂り入れることができるのです。
(まとめ)
冬真っ只中のこの季節、「温かいお茶なしでは過ごせない」という方も多いのではないでしょうか。長年飲んでいるお茶ももちろん良いのですが、この機会に抹茶や深蒸し茶を試してみてはいかがでしょう?きっとお茶の美味しさを再発見できると思いますよ。